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「自転車にも青切符で反則金」いつから?何歳から?

サイクリング中の「ながらスマホ」「イヤホン・ヘッドホン装着」も完全にアウト!

2024.3.25(月)

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「自転車にも青切符で反則金」いつから?何歳から?

『自転車の違反にも青切符交付、反則金適用へ』

 3月上旬、上記のようなタイトルのニュースが、さまざまなメディアでいっせいに報じられました。自転車も、交通違反をすればクルマやバイクと同じように厳しく取り締まられ、反則金を取られることになるらしい……、ということはわかるのですが、「これって、いつから始まるの?」「小学生や中学生でも反則金を取られるの?」とあらためて聞かれると、答えに窮してしまう人が多いのではないでしょうか。

 4月から新学期が始まります。我が子がこの春からはじめて自転車通学をスタートさせるという方もおられるでしょう。

 そこで、自転車の青切符(交通反則切符)に関する情報と、そもそも、なぜこうした反則金制度が自転車にも導入されることになったのか、その背景を再確認しておきたいと思います。

自転車の青切符、いつから導入?

 さて、3月にこの情報が大々的に報じられたため、今年の4月から自転車も青切符を切られるのだろうと緊張している人も少なくないようです。が、実は、導入はもう少し先になります。今回、報道されたのは、「自転車にも反則金制度を導入する」という道路交通法の改正案が、2024年3月5日に閣議決定されたというニュース。つまり、あくまでも「案」が通った、という話です。

 閣議決定された改正案はこれから通常国会にかけられ、そこで成立してから、2年以内の施行となります。つまり、自転車の青切符スタートは、令和8(2026)年からということになります。

どんな違反で、いくらの反則金をとられるのか?

 青切符の対象となる自転車の違反の種類は100以上と、かなりの数にのぼっています。反則金の額は、原付バイクとほぼ同じになる見込みです。

 中でも高いのは、スマホなどを持ちながら走行する「ながら運転」です。この違反をして青切符を切られると、1万2000円の反則金を納めなければなりません。「高い」ということはそれだけ「危険」ということでもあります。今から十分気をつけるようにしてください。

スマートフォンを使いながら自転車に乗る人たち=中国・北京。2017年4月(写真:共同通信社)

スマートフォンを使いながら自転車に乗る人たち=中国・北京。2017年4月(写真:共同通信社)

 また、スマホといえば、最近、ヘッドホンやイヤホンを耳につけたまま走行している人をよく見かけますが、これもアウトです。反則金は5000円ですので、習慣になっている人は即刻やめるようにしましょう。

 そのほか、よくみられる自転車の傘さし運転も違反となり、反則金は5000円、緊急車両に道を譲らないで妨害した場合も、同じく反則金は5000円になる予定です。

 道路標識を無視した場合も青切符の対象です。免許なしで乗れる自転車は、どこかで「交通法規を守らなくてよい」という甘い考えを持ちがちですが、2年後からは、信号無視、一時停止無視、右側通行、横断歩行者妨害といった行為は、すべて反則金6000円となります。

 もちろん、自転車といえども、酒酔い運転,酒気帯び運転は固く禁止されており、赤切符(交通切符)の対象で、これまで通り検察に送付され、刑事手続きとなります。また、ながら運転で他者に危険を生じさせた場合や、あおりなどの妨害運転も赤切符の対象ですので、絶対にしないようにしてください。

自転車の青切符、対象年齢は?

 では、今回の法改正で青切符の対象となる自転車に、年齢制限はあるのでしょうか? 特に子どもを持つ親としては気になるところですが、現時点では16歳以上が対象なるとのことです。つまり、現在14歳の中学生は、2年後、高校生になった時点でこの取り締まりの対象になるということです。

 ただ、16歳未満だからといって交通ルールを無視してもよいというわけではありません。

 警察庁の調べによると、全交通事故に占める自転車事故の構成比は、2016年以降増加傾向にあり、2022年中の自転車関連事故の件数は、6万9985件で、前年より291件増加しています。

 また、自転車関連の死亡・重傷事故は、約76%が「対車」の事故で、そのうち、出会い頭の衝突事故が約55%と最も多く発生しています。こうした事故では自転車側にも安全不確認や一時不停止等の違反が多く見受けられるとのことですので、特に一時停止の標識はしっかりと守ることを心がける必要があります。

<参考:警視庁Webサイト>
自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~

自転車もルール違反で重大事故の加害者になる

 2年前、東京・池袋で起こった、信号無視自転車によるひき逃げ事件を下記の記事で取り上げました。

〈自転車の「ひき逃げ」動画公開で親が震撼、「もし我が子が加害者になったら」〉JBpress(2022.12.25)

 事故の瞬間を記録した防犯カメラの映像は以下です。

自転車による「ひき逃げ事故」の瞬間動画

 動画を見てもわかる通り、自転車は完全に信号無視をして横断歩道に進入しています。自転車といえども、ノーブレーキで衝突すると歩行者に相当のダメージを与えることがわかります。被害女性はこの事故で全身打撲のケガを負いましたが、もし頭部を強打していたら、命に危険が及んだかもしれません。

ノーブレーキで横断歩道に突っ込んできた自転車にはねられ転倒したAさんと、ひき逃げ犯。犯人はこの後、Aさんを介抱することもなく、自転車で逃走した(防犯カメラの映像より)

ノーブレーキで横断歩道に突っ込んできた自転車にはねられ転倒したAさんと、ひき逃げ犯。犯人はこの後、Aさんを介抱することもなく、自転車で逃走した(防犯カメラの映像より)

 このひき逃げ事件が発生してから、すでに1年5カ月が経過しました。しかし、これだけはっきりした瞬間映像が公開されているにもかかわらず、犯人はまだ逮捕されていません。被害者のAさんは今も後遺症に苦しみ、通院を続けているそうですが、犯人が見つからないため治療費は自己負担です。

 今回、自転車の反則金制度が閣議決定されたことについて、Aさんはこう語ります。

「悪質な自転車による轢き逃げ被害者としては、『遅すぎる感』が否めませんが、私のような被害者がこれ以上増えないためにも、青切符導入は絶対必要です。

 電動自転車が当たり前になった今、もはや、自転車も車と同等の殺傷能力があります。ひとつ間違えば、私もどうなっていたかわかりません。他人事ではなく、いつ自分が加害者、被害者になるかもしれないということを忘れないでほしいです。

 今回の道交法改正によって少しでも自転車のマナーが改善し、事故抑止につながることを願ってやみません」

 自転車はれっきとした車両です。子どもであっても大人であっても、重大事故の加害者になる可能性があります。万一事故を起こしたら被害者を救護する、これは鉄則です。自転車であっても、ひき逃げは絶対に許されません。

 自転車の青切符導入は2年後ですが、日ごろから交通ルールを守るように心がけることが大切です。

●情報をお寄せください

【未解決】池袋・自転車ひき逃げ事件について
・発生日時/2022年10月18日午後3時27分頃
・事故現場/東京・南池袋3丁目の横断歩道
・犯人のルート/池袋駅方面から目白方面へ走行中に事故。そのまま目白方向へ。その後、路地へ入って逃走
・犯人の特徴/20歳くらいの男性
・自転車/赤色のスポーツタイプの自転車
・着衣/黒い上着
・連絡先/目白警察署 交通捜査係 03-3987-0110(内線4252)

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