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「すべてが嫌になった…」各国で相次ぐ『車』を使った自暴自棄による無差別殺傷事件 その深刻な実態 #エキスパートトピ

2025.5.2(金)

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「すべてが嫌になった…」各国で相次ぐ『車』を使った自暴自棄による無差別殺傷事件 その深刻な実態 #エキスパートトピ

 5月1日、大阪府西成区で衝撃的な事件が発生した。東京に住む28歳の男が、レンタカーで下校中の小学生7人をはねた。当初は交通事故として速報が流れたが、その後、警察は殺人未遂で逮捕。男は「すべてが嫌になったので、人を殺そうと車で突っ込んだ」と供述しており、故意で子どもたちを狙ったとされる。

 死傷者が出ていないケースの場合、大きく報じられることはないが、過去のニュースを検索すると、車を『凶器』として使用した同種の事件は国を問わず繰り返し発生している。どう備えるべきか。ごく一部だが振り返ってみた。

ココがポイント

東京の28歳の容疑者を殺人未遂の疑いで逮捕(中略)「すべてが嫌になったので、人を殺そうと車で突っ込んだ」と供述している

出典:NHK 2025/5/1(木)

秋葉原で人を殺します(中略)犯行予告のような投稿。その約7時間後(中略)トラックが猛スピードで突っ込み歩行者5人をはねた

出典:産経新聞:産経ニュース

女の車は、線路脇のフェンスをなぎ倒して侵入し、線路上で横倒しに(中略)「人生がどうでもよくなり、死んでもいいと思った」

出典:読売新聞オンライン 2023/5/6(土)

広東省珠海で35人が死亡した車の暴走事件を受けて、中国ではまたしても、公の場での無差別襲撃事件が話題になっている

出典:BBC 2023/11/14(火)

エキスパートの補足・見解

 GWのただ中、突然発生した恐ろしい事件に大きなショックを受けました。全であるはずの小学校前の通学路で、ランドセルを背負った子どもたちが次々とはねられる……。そのときの恐怖を思うと、犯人に対する怒りがこみ上げます。しかし、過失ではなく「殺そう」と思って鉄の塊が襲ってくるのですから、学校や保護者がどれほど安全に気を配っていても、どうすることもできません。

 上記記事の中には、車で線路に突っ込んだ事例もありますが、一歩間違えば、多数の死傷者が出ていた可能性もあるのです。

 恐ろしいことに、こうした事件は過去にも世界中で繰り返し起こっています。家庭不和、失恋、経済的な貧困、人間関係の悩み、将来への不安……、人が生きていく中にはさまざまなつまづき、苦しみがあるでしょう。それを自身で乗り越えようとせず、他者を巻き込んで、世間に『報復する』という発想でこうした行為に及ぶ人間が少なからず存在するのです。

 彼らにとって『車』は大きな殺傷能力を持つ安易な凶器となります。家族が異変に気づけば車に乗らせないという防衛手段を取ることもできますが、レンタカーとなると困難です。どう対策すればよいのか、深刻な課題です。