Date: 2010-08-22 (Sun)
今週発売の「週刊現代」に『巻子の言霊』の書評が掲載されています。 評者は永江朗さんです。 永江さんには、以前にも「週刊朝日」などで「焼かれる前に語れ」などの書評を書いていただいたことがあります(いつもありがとうございます!) 早速、紹介させていただきます。
■特選ノンフィクション
逆境と闘う夫婦愛に感動
ひとりの女性が交通事故に遭い、全身麻痺となった。 動くのは目と瞼だけ。 夫は懸命に看病した。機械を使ってかろうじて言葉を伝えられるようになった。 柳原三佳「巻子の言霊」は、この夫妻についてのノンフィクションである。 夫、松尾幸郎さんの献身的な介護や、妻の巻子さんとの愛情あふれるエピソードに、何度も落涙しそうになった。
しかしそれ以上にこみ上げる怒りを抑えられない。 まず、自動車保険会社の、人の命を値切るようなやり口だ。なんと彼らは、巻子さんにつけられた人工呼吸器等を「過剰」だと主張したという。 すぐ死ねということか。 この国の医療制度にも腹が立つ。 巻子さんはいくつもの病院をたらいまわしにされた。
交通事故死者はかつてと比べると減った。しかしゼロになったわけではない。 自動車が走る凶器であることには変わりない。 誰もが被害者に、そして加害者になりうる。 自動車社会の足元の脆弱さにおののく。 (「週刊現代」 2010.9.4 評者・永江朗)
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