最近の動向

― 法医科学研究所設置法案―

 (目的)
第一条
  この法律は、死体の検案及び解剖並びに身元が明らかでない死体の指紋及び歯形の分析、遺伝子構造の鑑定その他の身元を明らかにするための科学調査(以下「死体の検案等」という。)を適確に行わせるため法医科学研究所を設置し、もって死体の死因及び身元に関する調査の適確な実施の促進を図り、公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
  (設置)
第二条
  内閣府に、施設等機関として、法医科学研究所(以下「研究所」という。)を置く。
  (所掌事務)
第三条
 研究所は、第一条の目的を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
  一 死体の死因に関する調査の依頼に応じて、死体の検案又は解剖を行うこと。
  二 死体の身元に関する調査の依頼に応じて、身元が明らかでない死体の指紋又は歯形の分析、遺伝子構造の鑑定その他の身元を明らかにするための科学調査を行うこと。
  三 死体の検案等が適確に行われるための技術的指針を定めること。
  四 死体の検案等に関する研修を行うこと。
  五 死体の検案等に関する情報の収集、分析及び提供を行うこと。
  六 死体の検案等に関する調査研究を行うこと。
  七 前各号に掲げる事務に係る業務に附帯する業務を行うこと。
  (所長)
第四条
  研究所に、所長を置く。
2 所長は、研究所の事務を掌理する。
  (副所長)
第五条
 研究所に、副所長一人を置く。
2 副所長は、所長を助け、所長に事故があるとき又は所長が欠けたときは、その職務を代行する。
  (法医科学専門官)
第六条
 研究所に、法医科学専門官を置く。
2 法医科学専門官は、命を受けて、研究所の所掌事務に関する専門的事項に係る業務を行う。
  (内部組織)
第七条
 前三条に定めるもののほか、研究所の内部組織は、内閣府令で定める。
  (支所)
第八条
 研究所は、研究所の所掌事務の一部を分掌させるため、所要の地に支所を置くことができる。
2 研究所の支所の名称、位置、所掌事務及び内部組織は、内閣府令で定める。
  (政令への委任)
第九条
 この法律に定めるもののほか、研究所に関し必要な事項は、政令で定める。
    附 則
  (施行期日)
第一条
 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
  (検討)
第二条
 政府は、死体の検案等に関する専門的知識及び経験を有する人材を育成し、及び確保するための方策について速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
  (内閣府設置法の一部改正)
第三条
 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
   第三十九条に次の一項を加える。
  2 別に法律の定めるところにより内閣府に置かれる施設等機関で本府に置かれるものは、法医科学研究所とし、法医科学研究所設置法(平成十九年法律第   号)の定めるところによる。
   第六十八条第一項中「第三十九条」を「第三十九条第一項」に改める。
理 由
  死体の死因及び身元に関する調査の適確な実施の促進を図るため、死体の検案及び解剖並びに身元が明らかでない死体の指紋及び歯形の分析、遺伝子構造の鑑定その他の身元を明らかにするための科学調査を専門的に行う組織として法医科学研究所を設置する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
本案施行に要する経費
  本案施行に要する経費としては、平年度約三十四億円の見込みである。

© 柳原 三佳